在宅介護を始めたとき、多くの人が「自分がやらなきゃ」という強い責任感から、すべてをひとりで抱え込みがち。
介護は本来、ひとりの力だけで背負えるものではありません。
「私がやらないと家族が困る」
と思い込み、私も心身ともに限界を感じたことがありました。
正直、パンクしますよね。
それほど、在宅介護は大きなエネルギーを消耗します。
介護は家族や周囲で支え合う”チーム戦に変えることが重要”だと私は思います。
そこでこの記事では、私の体験を交えながら、介護を「みんなごと」にして負担を軽くする仕組みや工夫をご紹介します。
一人で抱え込まないことで見えてくる、持続可能で心地よいエシカルな介護の形を一緒に探していきましょう。
チーム介護とは?
そもそも”チーム介護”というフレーズを知ったのは在宅看護師から。
チーム介護(チームケア)とは、介護の現場において、医師や看護師、ケアマネージャーなど、複数の専門職がそれぞれの専門性を活かし、連携を取り合いながら共通の目標に向かって利用者さんを支援する体制のことです。
情報共有や密接なコミュニケーションを通じて質の高いサービスを提供することを目標とされています。
介護をひとりで抱え込まない方がいい3つの理由
「ひとりで頑張る」ことは、あまりおすすめしません。
理由は以下の3点。
- 心身の負担が大きすぎるから
- 介護うつや燃え尽きのリスクを防ぐため
- 支え合うことで余裕と安心が生まれる
周りに協力してくれる方がいるのであれば、お願いすべきだと私は思います。
介護をすべて自分ひとりで背負い込むことは、あなた自身にとっても、家族にとっても、持続不可能で非エシカルな選択になってしまうからです。
1.心身の負担が大きすぎるから
在宅介護は食事や排泄、通院、夜間対応まで、24時間体制で続く重労働です。
※もちろん当人の状態によっては異なりますが
少なくとも私の家庭では要介護⑤/身体障碍者①級を持っており、ほぼ24時間体制となっています。
肉体的な疲労だけでなく、精神的なエネルギーも極度に消耗します。
本当に大変です。
特に「自分の頑張りが報われない」と感じたり、孤独感に押しつぶされそうになると、心の限界は一気に近づきます。
この過度な負担は介護者の尊厳を損ない、やがて心身を壊してしまう危険があるのです。
2.介護うつや燃え尽きのリスクを防ぐため
休む暇もなく、仕事や家計のことも背負いながら介護を続けると、心はどんどん蝕まれます。
私自身も無理を重ねた時期、些細なことで怒りっぽくなり、心の余裕を失っていた気がします。
抱え込みすぎると、介護うつや燃え尽き症候群(バーンアウト)に直結します。
実際、二人体制で父を介護していた母も心身の不調を抱え、専門家のサポートが必要な状況になりました。
誰にでも起こり得るこのリスクを避けるために、セルフケア(自分を大切にすること)は欠かせません。
3.支え合うことで余裕と安心が生まれる
介護を分担し家族や支援者と一緒に「チーム介護」を築くことは、孤独からの解放につながります。
誰かに任せられる部分があるだけで、心に自然とゆとりが生まれるからです。
「今日はこの時間だけは自分の自由だ」
「誰かがちゃんと見てくれている」
と思えるだけで、失いかけていた笑顔を取り戻せるのです。
この余裕と安心感こそが、介護者のウェルビーイングを守り、結果的に介護の質を高める最高の原動力になります。
ですが、介護はご家庭の状況によっては違います。
一人で介護しているご家庭は今後どうするべきなのか、、もう少し考えないといけませんね。
介護を「みんなごと」にする。家族で支え合う仕組みづくりの始め方
介護を持続可能にするためには、チーム介護の仕組みをつくることが欠かせません。
これは、介護者の負担を減らすだけでなく、家族の絆を深めるエシカルなプロセスでもあります。
私たち家族も個人戦ではなく”チーム戦”なのだと認識しさらに楽しくやろうという目的もあります。
- 家族会議で役割を話し合う
- 負担を分散する
- 負担を見える化
- 役割を見直す
1.まずは家族会議で役割を話し合う勇気を持つ
「言わなくてもわかるだろう」という思い込みは、介護ではすれ違いの原因になります。
些細なことでもすれ違いになり状況が悪くなることもあるため小さなことでも、話し合うことが大切。
例えば私の家族では以下のように役割分担しています。
もちろんこれ以外にもオムツ交換や体位替えなどお互いに納得し細かく取り決めました。
2.できることを分け合い、負担を分散する
介護は必ずしも身体介助だけではありません。
家族それぞれの「できること」に応じて広く役割を分け合うのも大切です。
- 通院の付き添い
- 薬の管理
- 買い物
- 掃除
- 話し相手(見守り)など。
家庭の状況によっては、一人で担う部分が多くなることもあります。
その場合でも、外部サービスへの委託を役割として割り振ることで、チームの一員として機能させることができます。
3.負担を“見える化”して「一人だけ大変」を防ぐ
誰か一人に負担が集中すると、不公平感が生まれ、チームはうまく回りません。
スケジュール表や共有アプリ(LINEグループ、介護専用アプリなど)で、「今日は誰が何をやるか」などを共有するのも良いかもしれません。
負担が可視化されることで、感謝の気持ちも自然と生まれます。
4.状況が変わったら柔軟に役割を見直す
人の体調や仕事の都合は日々変わります。
一度決めた役割に固執せず定期的に見直すことも大切です。
体験談
私も「話しても変わらない」と諦めかけていましたが、小さな役割を共有しただけで、家族に「介護はみんなでやるものだ」という一体感が芽生えました。
柔軟な対応こそが「無理なく続けられる」チーム介護の土台になります。
家族以外にも頼ろう|介護をサポートする外部サービスとテクノロジー活用
「チーム介護」の輪は、家族の中だけにとどまりません。
外部のプロフェッショナルやサービス、そしてテクノロジーの力を借りることは、介護者の負担を減らす、エシカルな選択でもあります。
- 介護サービスを積極的に
- ICTやアプリで情報を共有
- 地域や専門職に相談
1.介護サービスを積極的に使う勇気
介護サービスを利用することは「怠けている」わけではありません。
介護を持続可能にするための工夫の一つであること。
- 休息を確保する
⇒訪問介護やデイサービスは、ご本人の生活を支えるだけでなく、介護者に休息(レスパイト)や自分の時間を与えてくれます。 - 専門家の力を借りる
⇒プロの技術や知識に頼ることで、身体的な負担や精神的な不安を軽減できます。
この休息こそが介護者のウェルビーイングを守り、結果的に質の高いケアにつながります。
2.ICTやアプリで情報を共有しチーム力を高める
現代のテクノロジーを使えば家族間の連携は格段にスムーズになります。
- リアルタイムな情報共有
⇒LINEグループや介護アプリを使って、「今日は通院で疲れている」「食欲が少なかった」などを即時に共有。 - 不公平感を減らす“見える化”
⇒介護記録をデジタル化すれば、誰がどのくらい負担しているかが一目で分かります。
これにより全員が状況を把握でき、家族全体の安心感が高まります。
3.地域や専門職に相談し、負担を分散する
介護を家の中のことに閉じ込めてしまうと、孤立を深めてしまいます。
地域や専門職とのつながりを持つことが大切です。
- 地域の専門窓口に相談
⇒地域包括支援センターやケアマネジャーは介護の専門家。公的サービスや地域の支援制度を教えてくれる心強い存在です。 - 近隣との交流を大切に
⇒近所に介護の現状を少し伝えるだけで、「夕食のお裾分け」など温かい相互扶助が生まれることもあります。
地域包括支援センターやケアマネジャーは「困っていること」を話すだけでも、新しい解決策が見つかるかもしれません。
もし悩んでいる方がいるなら相談しても良いでしょう。
私の体験から学んだ抱え込まないためのヒント
チーム介護を機能させるには、仕組みだけでなく介護者自身の心の持ち方も大切です。
私の経験から”ひとりで抱え込まない”ためポイントを3つご紹介します。
- 持続可能な介護を優先
- 気持ちをオープンにする
- ありがとうを伝え合うこと
1.罪悪感より「持続可能な介護」を優先する
「私がやらなきゃ」という責任感が強すぎると、心身をすり減らし、やがて介護を続けられなくなります。
その結果、ご本人にとっても悲しい結末を招いてしまうかもしれません。
「手を抜いてしまった」
「休んでしまった」
と思えても、それは介護を続けるためのエネルギー補充にすぎません。
自分と相手のウェルビーイングを守る、持続可能な介護の形を優先することも、一つのエシカルな選択だと私は思います。
2.気持ちをオープンにするだけで心が楽になる
介護の「しんどさ」を隠そうとすると、孤独感が増し、心が苦しくなります。
本当に介護は大変ですし。
「正直、しんどい」
と信頼できる人やケアマネジャーに伝えるだけで、周囲の理解とサポートを得やすくなります。
胸の内を言葉にすることは、助けを求めるサインであり、セルフケアの第一歩です。
あなたがオープンになることで、何をすべきかが明確になり、動きやすくなります。
3.ありがとうを伝え合うことでチーム感が生まれる
役割分担ができても、無言で義務をこなすだけでは、チームの絆は深まりません。
大切なのは感謝を伝え合う習慣
「ありがとう」と伝えるだけで、介護が”誰か一人の仕事”から”みんなの協力”へと変わります。
この感謝のやり取りが、チームの一体感を高め、介護を続ける温かい力になります。
まとめ|介護はチームで支えるもの
介護は終わりの見えないマラソンのようなもの。
その道のりを一人で孤独に歩む必要は決してありません。
家族や地域、外部サービスとつながることで「チーム介護」の輪が広がり、あなたの心と体の負担は確実に軽くなります。
私自身も一人で背負わないと決めてから、介護に対するプレッシャーが和らぎ、前向きな気持ちを持てるようになりました。
チームで支え合うことは、介護者のウェルビーイングを守り、愛する人の尊厳を尊重する、最もエシカルで持続可能な介護の形です。
あなたの介護を「みんなごと」にするために、今日からできる小さな工夫を一つ、取り入れてみませんか?
以下は私が介護しているときの気づきです。