横浜での仕事、酒田での地域活動。
それぞれの土地に大切な人や居場所があるのに、
私はずっと「どちらかに軸足を置かなければならない」と思い込んでいました。
けれど地域おこし協力隊として酒田で過ごした日々を経て、私は二拠点生活という生き方を選びました。
どちらのわたしも本当のわたしなんだ
と自然に思えるようになったからです。
現在は家族の事情で酒田での活動には一区切りをつけ、横浜を拠点にしています。
それでも、酒田で過ごした時間は今も私の心の中で大切な軸となり、日々の選択や価値観に息づいています。
この記事では、酒田と横浜を行き来するデュアルライフで得た“心の豊かさ”や“わたしらしい関わり方”をお伝えしていきます。
都市と地方、どちらの暮らしも「わたしらしい」
都市と地方、それぞれまったく違うからこそ、どちらの暮らしも私にとって愛おしいものになりました。
横浜での暮らしには、家族のそばにいられる安心感、そして必要な医療やサービスがすぐに手に入る便利さがあります。
在宅介護を経験した私にとって、いざという時に家族のそばにいられる安心感は、心の余裕を支えてくれる大切な要素でした。
一方、酒田での暮らしには、人と人との距離が近く、自然に囲まれたゆったりとした時間があります。
朝、鳥海山を望みながら最上川の河川敷を散歩する時間は、私にとって何よりのリセットタイムでした。
今は横浜が生活の中心になりましたが、酒田で得た感覚は今も私の中で息づき、日々の暮らしに彩りを与えてくれています。

都会っぽい自分も田舎っぽい自分も、どちらも“わたしらしさ”の一部なんですよね。
わたしの役割が土地によって変わる
場所が変わると、自然と見えてくる自分の違う顔。
二つの拠点を往復することで、私はそれぞれの土地で異なる“わたしの役割”を持つようになりました。
横浜では、介護の手配や病院への付き添いを担い、家族を支える役割があります。
大変なこともありましたが、そばにいるという存在そのものが家族の心の支えとなり、絆を深めてくれました。
一方、酒田では、地域おこし協力隊として町の人々と関わる、“よそ者の仲間”という立ち位置がありました。
たとえば、町内会のお祭り準備を手伝っていたときに「また来てね」と声をかけてもらったこと。
そんな何気ない一言が、私にとって大きな喜びになったのです。
土地ごとに異なる役割を持てた経験は、これからの働き方や人との関わり方を考える上で、大切な軸になっています。
移動することで心が整っていく
以前の私は移動=疲れるものだと思っていました。
けれど今は移動=心が整う時間と感じるようになっています。
新幹線やバスに揺られている時間は、誰にも邪魔されない自分に戻る時間。
特に特急いなほ号から眺める日本海の景色は、毎回新鮮でおもしろく、「あぁ、これが整うということかもしれない」と思わせてくれました。
スマホを閉じて流れていく景色をぼんやり眺めていると、不思議と頭の中が整理されていく感覚がありました。
スマホもガラケーもなかった時代の昔に戻れた気分です。
現在は移動の頻度が減りましたが酒田と横浜を行き来していた頃の経験が、私にとってマインドフルネスの大切さを教えてくれました。
移動の時間も暮らしの一部
そう思えるようになってから、心の整え方が少しずつ変わっていったのです。
完璧じゃなくていい二拠点の関わり方
二つの場所と関わるときに大切なのは、”ゆるく、でも誠実に”という姿勢です。
住民票や生活の拠点は一つだけでも“心の拠点”はどちらにもあっていい。
予定も詰め込みすぎず、両方を「無理せず大事にする」工夫こそが、この暮らしを長く続けるためのコツでした。
二拠点生活で得た”完璧を目指さなくてもいい”という考え方は、今の暮らしにも息づいています。
そのおかげで、「できることをできる範囲でやる」という柔らかい気持ちで日々を過ごせるようになりました。
二つの場所がくれた深さと自由さ
酒田も横浜も、どちらも私の暮らしを豊かにしてくれる、かけがえのない場所です。
「どちらかに決めなくていい。どちらも愛していい。」
そう思えるようになったことが、デュアルライフがくれた一番大きな変化かもしれません。
横浜での日常が中心ですが、酒田で過ごした時間は、今も私の心の拠点として息づいています。
その存在があるからこそ、今の暮らしを安心して続けられているのだと思います。

あなたにとって“心が帰っていく場所”はどこですか?